2021年度鉄筋コース(第8期)

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リモート教室の放課後

妙な縁で、リモート教育というものに携わって1年余り。 最初はがむしゃらに対面教育をなんとか再現しようと試行錯誤し、あるモノはできずに諦めたり、またあるモノは対面にない良さがあったり、よくもわるくも新たな発見がありました。

その中で、学校というものの中で、「こんなに大切なモノだったのか」と今頃思い知らされたのが、「放課後」の存在です。

なにをしているわけでもない、「居なければならない時間」を終えてもなお居る、ホッとしたようでいて不安定な時間。

これがオンラインのバーチャルな教室ではなかなか再現できません。

「そんなもの、再現する必要ないじゃん?」  ・・・・・そうですね、ただ講義が終われば「じゃまた明日ー!」とブチっとzoomの赤ボタンを押して退室していいのかも知れません。 その方がいい場合ももちろんあるでしょう。

でも、それだけでは「何かさびしい」。 石沢校長が今回の入校式の式辞の中で述べていた「雑談ができる」環境というのもおそらく同じ思いで出たものと思います。 この感覚は年齢によらず共有しうるものなのでしょうか?

「さあ、ここから30分が放課後だよー!」なんて宣言するのもヘンです。 zoomでできる操作なんて限られます。 これが一番近いだろうと思い、担任の自分が午後5時にできたことは、

「ホストを訓練生の一人に委譲して(=戸閉まりだけ頼んで)、自分は退出すること」

でした。 「場をつくる立場」にありながら、「その場に関与するのがそもそも間違い」なわけですから最初から矛盾しているのです。

どうなるかわかりませんが、今後訓練校のリモート教室の最後はそうやって閉めようと思います。

 

 

 

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11月4日(木) 訓練10日目

朝聞くと、昨日はみんな応援で現場仕事に行っていたんだとか。 対面訓練だと基本入寮するのでそれも難しいですが、長期間の訓練ではそうやって期間中訓練に没入するのがいいのか? それともたまにいつもの環境に戻りつ行きつ訓練に参加するのがいいのか? ふと考えることがあります。

私と歳の近い世代の事業主さんだと、よく「寮の集団生活に入れて鍛えてやってください」と頼まれることもあります。 いろいろな環境に適応することは重要なことだと私も思います。 放り込まれた集団生活でみんなと折り合いをつけながらやっていくことは決して簡単な事ではありません。

しかし今は、コロナ禍によってコミュニケーションが足枷だらけ。 この中でできる範囲で折り合うことがずっと難しいことなのではないでしょうか? ですからせめて今は誰が来ても安心して教育を受けられる環境を提供することが肝要だと考えています。

 

さて今日の午前中は、大林組東日本ロボティクスセンターの髙松講師が、同じ県内の川越の同センターからリモートで「移動式クレーンによる揚重計画のポイント」についての講義です。  

昨年の鉄筋コースは、当校ではリモート併用の初回。 講師の方はみなさん八潮訓練校に来ていただいての「訓練生のみリモート」だったのですが、髙松講師のこの講義だけが初回から「講師もリモート登壇」でした。 

今思えば何ということはないのですが、今年こうして横で講義を訓練生といっしょに聴きながら、「ああ、これって純粋に我々は『教える者と教わる者を結びつけている役なんだな』ということを実感しました。

鉄筋は躯体三役の中でも最も重いモノを吊るので、クレーンの選定を間違えると致命的な段取りミス、最悪は災害にもつながるためみな真剣な表情で講義と演習問題に取り組んでいました。

 

午後は作図実習の3日目。 まだCADを習ってから1週間しか経っていませんが、かなりの作画スピードに達しています。 CADにはスピード違反はありませんから見ていて気持ちがいいですが、精度の低下には気を付けないといけません。 

予定では今日から2枚面の図面にかかるぐらいのペースでやらないと最後まで進めないので、随時判定ラインまで作画が到達したらbox上に図面をアップロードして講師に添削してもらいます。 ある程度ダメ出しがあったのち、次の図面に書き進むというやり方で一歩一歩進んでいきます。

これが、リモート講師でも見られる一人一人が制作中の画面

 

さて午後は鉄筋納まり図、今日あたりから2枚目の図面に進まないと遅れをとってしまうことになりますが、毎日box上にアップロードした図面を添削している大山講師によればまあいい線いっていると。 1週間前はやっとこCAD仮免許状態でしたがもうかなりのスピードで作画も要領がよくなっています。 毎朝やっている「大山ナビ」も効果があったようです。

 

 

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11月2日(火)訓練9日目

今日は午前中は鵜飼講師の2日目講義「建築関連法令」、午後は大林組構造設計部の平柳部長による「設計図の見るポイント」です。

建築関係法令は多岐にわたるので、4時間でとてもすべてを網羅することはできませんが、日常の鉄筋工の現場業務を舞台とした場合、「法令ではどうなっている?」という場面に出くわすことは少なくありません。 鵜飼講師の講義は、そういった話題から始めて本題に講義をリードするスタイルです。

午後の「設計図を見るポイント」は、過去に専門講師や、継続して訓練生を派遣していただいている会社からちらほら、自社の聴講したいという申し入れがあり、席に余裕があれば(当時は対面講義でしたので)お受けしていました。

これが昨年、リモート講義になったことから広く林友会会員各社にも公開講座として聴講を募集し、林友会全体として鉄筋工事に関する知識を深める一助にしていただくことにしました。

訓練校公式(?)フライヤーがこちら



今年は全国17社(富山・栃木・徳島・大阪・宮城・東京・福島・広島)から60名の聴講申込がありました。 昨年の倍以上になります。
みなさんやはりこの1年のコロナ対応もあってリモート慣れしているのか、チェックインも非常にスムーズに済みました。

ネット負荷を上げないよう、聴講中はカメラをOFFにしていただきましたがそれでも50数名居るとギャラリービューは壮観です。

平柳講師も、やはり自分の構造設計を実現してくれる立場である、多くの鉄筋工の人達に聴講してもらっているのは特別の意味があるのでしょう。 最後まで熱の入った講義をしていただき、質問にもその都度丁寧に答えていただきました。

今日のところはほぼ顔無しでスクショ

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10月29日(金) 訓練7日目

今日から、いよいよ専門課程の鉄筋施工図の作図演習の科目が始まります。 林友会加盟の在京鉄筋施工会社3社から講師に来ていただきました。 初日は、訓練の進め方と目的を講師と訓練生が専門職目線で共有するとともに、今後の訓練のためにインタビューをしながら一人一人の経験値を測ることになります。 それで講師も今日は全員登壇、といってもオンラインですから、配信スタジオである八潮の教室から、あるいは自社からリモート登壇と講師によっていろいろ です。

 

CADの操作も覚えたてなので、そちらの指導もすぐに対応できるように、また進めて行くうちに、中級以上の操作を覚えておく方がよい場合もあるので、オーク情報システムのパソコン・CAD課程を担当していただいた講師も1名来ていただき、個別指導やミニ講義行います。

講師の先生方も、去年は「どうすんの?」的な場面も多かったですが、1年も経つといろいろなことでリモート慣れされているようで、講義もこうして八潮に集結しなくても十分目が届く(各訓練生のモニター画面を複数の場所から見るので、講師が集結して密になることも発生しない)ので、かなり楽になりました。 </p>
<p>開講するために「リモート教育の必要性」に明け暮れていた昨年から、今年は訓練を進化させるための「リモート教育の可能性」について、講師のみなさんも一緒に考えていただいており、心強い限りです。

 

 

 

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10月26日(火) 訓練4日目

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10月25日(月) 訓練3日目

本日よりCAD研修です。 昨年の訓練校でのリモートCAD研修は今回で3回目。 前回のとびコースが2回目でしたが、AutoCADからARESへの移行初回で教授側も苦労することが少なくありませんでした。 

オーク情報システムの首藤講師・竹内講師、それに副担任の大山講師が今回もこの科目を教えます。 

演習問題を回答させている最中は個別指導が時々入ります。 そこで「名物」となっていた講師同士の「混信指導バトル」、今年は3人だと起こらないだろうなと思っていましたが、やはり同じように勃発してしまいました。

この訓練生分の台数のモニター機は、それぞれのブレイクアウトルーム内に割り当てていますので、ヘッドホンを挿せば個別指導ができるのですが(初回の初日はそうしていました)、でもそういう「お行儀のよい」指導は雑音のない無味乾燥な教室の雰囲気になってしまうことがすぐに分かりました。

それで今では、あえて講師サイドの雑談も、訓練生のクシャミやうめき声?も流してやっています。 この写真では個別指導していますが、音声に限っては大教室のマイクで拾って、一人の訓練生への指導の声が全員に流れます(わざと)。

没入は退屈と隣り合わせ、喧噪は散漫と隣り合わせ。 配信しながらその中間を狙っているのですが、どういう風に届いているのかは実のところわかりません。

同じ課題をやっている時に、人のやっている図面は気になるもの。 教室での「チラ見」をリモートで再現するのもけっこう大変です。 去年は時間を決めて全員にホストの権限を与えて「ブレイクアウトルーム無礼講」をやりましたが、今年はどうしましょうか・・・。

 

 

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10月22日(金) 訓練2日目

リモート研修の導入となる初日の訓練を済ませ、2日目からはオンラインで専門の先生が登壇して、パソコン操作の基礎からCADの作図までを教授します。

当校のリモート訓練では、このパソコン・CAD研修の前半4日間がタブレットとパソコンを併用して最も複雑なシステムが組まれます。

ここでは、パソコンではCADアプリが走り、訓練生が各自のCAD操作をしながらzoomを同時に起動しブレイクアウトルーム内に置きます。 そうして講師前の画面モニタ機にCAD画面を共有させます。

一方タブレットはブレイクアウトルームに参加せず、講師が講師機で図を操作しながら解説する画面を共有して、普通の講義をオンライン受講する体裁をとります。

このやり方だと、セッティング中に講師側も訓練生側も一瞬はパソコンとタブレットが同じ部屋の中に共存することがあり、マイクが入っているとキンキンキンとハウリングを起こしてしまいます。  zoomのホスト(事務局)の方でコントロールはできるのですが、やはり参加者全員がこのzoom教室の構造を理解していることがスムースな研修をする上で必要です。

とはいえ、昨年と比べて受講生の数は少ないにもかかわらず、一部の受講生でネット接続が時々不調になります。 これは、オンラインでのミーティングが世間一般で普及したにもかかわらず、おそらく公共の通信インフラが各地でそれに追いついていないからでしょう。 そう簡単に解消できるものではなさそうです。   

義務教育である中学校でも、学校でタブレットを生徒にもたせたものの、教室内wi-fi回線につなぐとパンクしてしまうので結局宝のもちぐされになっているんだとかいう話を耳にします。 

このように、同じやり方をしていても世の中は良い方向にも悪い方向にもどんどん変化しているのを実感します。 訓練校も、安心して訓練を受けてもらうために日々そういった問題と向き合っています。

訓練生らも、今日のこのやり方でこれから3週間学ぶ環境を、自分の側でもやりながら慣れ、そして自分でも整えていかないといけません。 いい意味で、チャレンジする者が発する緊張感に包まれた一日でした。

また今日からは、訓練生には各所属会社に訓練日誌を終講時に作成して送付してもらいます。

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10月21日 第8期鉄筋コース(対面・リモート併用)開講しました

10月21日(木) 雨
昨年対面・リモート併用で開講した鉄筋コースは、今年もほぼ同じスタイルで本日開講しました。

昨年はコロナ第3波の初期に開講しましたが、今年は感染者数がその10倍を超えた第5波がかなり減衰してからの開講です。 
コロナの蔓延度合いを開講日を基準にして言うと、昨年487人→今年343人で減っていますが、募集時の8月下旬基準だと、昨年500人/日だったのが今年は20000人/日越え。 あれだけ感染防止に腐心した昨年に、どうしてこの状況が予想できたでしょうか。

そういった状況もあって、今年度コースに参加の訓練生は3名です。 そして3社とも昨年度初の試みだった対面・リモート併用訓練にも訓練生を派遣された会社です。 

今年も続けて訓練生を派遣いただけたということは、 このコロナ禍を新しい学びのきっかけと捉えていただいているチャレンジングな会社とお見受けしますし、また昨年の当方の訓練実績にも一定の評価をいただいたとも言えますでしょうか。 主催者としても身の引き締まる思いです。

開講式は、コミュニケーション講座を一時中断して午後2時からリモートで行いました。 各派遣元各社から代表の方々をご来賓としてお迎えし、大林組からは大川専務・建築本部長が出席しました。

今年も困難は多いとは思いますが、対面と遜色のない、むしろそれ以上の学びの場をつくることを目指して28日間の訓練にしたいと思います。